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遺言書だけでは伝わらない想い——生前映像という選択肢

コラム
遺言書だけでは伝わらない想い——生前映像という選択肢

遺言書を書き終えたとき、少し肩の荷が降りた気がしたという方が多いと聞きます。

財産の分け方を決めた。誰に何を遺すか書いた。法的な手続きに必要なことは、ちゃんと残した。

でも、ふと思うことはないでしょうか。「これで、本当に伝わるのかな」と。

遺言書は「何を」残すもの

遺言書は、主に財産の分け方を記すための法的な文書です。「誰に」「何を」「どのように」渡すかを、法律に則った形で残す。それが遺言書の役割です。

だからこそ、遺言書にはどうしても書けないことがあります。

子どもたちを均等に扱ったのは、どちらが大切というわけではなく、同じだけ愛しているからだということ。長男に家を遺したのは、長年介護を続けてくれたことへの感謝があったからということ。特定の財産を特定の人に渡したいと思った、その背景にあった想い。

こうした「なぜ」は、どれだけ丁寧に遺言書を書いても、条文の中に収めることができません。法的な文書である以上、感情や物語を綴る余地は限られています。

相続トラブルの根っこにあるもの

裁判所の統計によると、遺産分割をめぐる争いは年間約15,000件以上が家庭裁判所に持ち込まれており、ここ20年で約1.7倍に増加しています。

金額的に大きな遺産がある家庭だけの話ではありません。裁判所のデータでは、遺産額が「1,000万円以下」の争いが全体の約3割を占めています。財産の多寡よりも、「故人が本当は何を思っていたのか、わからない」という感情のすれ違いが、多くのトラブルの発端になっているのです。

遺言書があっても、それは変わらないことがあります。「こう書いてあるのはわかるけど、なぜそう決めたのかが腑に落ちない」——そのひとことが、家族の関係に亀裂を入れることがあります。

声のトーン、表情、間——映像にしかないもの

映像には、文字にできないものが映り込みます。

子どもたちへの感謝を語るとき、少しだけ目が潤む。伝えたい言葉を選びながら、一瞬だけ空を見上げる。照れくさそうに笑いながら、でもちゃんと伝えようとしている表情。

そういったものは、どれほど言葉を尽くして書いても、紙の上には残りません。でも映像には残ります。そしてそれを観た家族は、言葉そのものよりも深いところで、故人の気持ちを受け取ることができます。

「財産の分け方に不満はなかった。ただ、お父さんがどんな気持ちでそれを決めたのかを知りたかった」——そんな声を耳にするたびに、映像を遺すことの意味を強く感じます。

「AIで故人を再現する」サービスとは何が違うのか

近年、AIが故人の声や表情を再現し、まるで本人が語っているかのようなメッセージを生成するサービスが登場しています。技術としては興味深いですが、本質的な部分で異なるものだと思っています。

AIが再現するのは、あくまで「過去のデータから推測された言葉」です。その人が本当に伝えたかったのかどうか、誰にもわかりません。

結い言が大切にしているのは、その逆です。生きている今の本人が、自分の意思で、自分の言葉を語る。言い淀んでも、少し涙ぐんでも、それでいい。むしろ、そういう瞬間にこそ、伝えたいことが詰まっています。

AIには再現できない、この瞬間だけのものがある。だから、「今」撮ることに意味があるのです。

どんな人が、生前映像を撮っているのか

生前映像というと、「病を抱えた方が急いで撮るもの」と思われることがあります。でも実際は、もっと多様です。

60代で遺言書を書いたのを機に、「言葉でも残しておきたい」と思った方。お子さんが結婚するタイミングで、伝えたい言葉が溢れてきた方。親御さんが元気なうちに、子ども側から「一緒に撮ろう」と声をかけた方。

きっかけは様々ですが、共通しているのは「今、ちゃんと届けたい」という気持ちです。体が元気で、言葉がしっかり出るうちに。大切な人への想いが、まだ言葉になるうちに。

手紙は書ける。写真も撮れる。遺言書も書いた。でも、声と表情だけは、今この瞬間にしか残せません。

結い言のアプローチ——プロが寄り添うインタビュー形式

多くの方にとって、「カメラの前で自分の気持ちを語る」というのは、初めての体験です。何を話せばいいのか、どこから始めればいいのか、うまくできるか不安——そういった声をよく聞きます。

結い言の撮影は、台本を渡して読んでいただく形式ではありません。代表の大平が、丁寧に問いかけながらお話を伺うインタビュー形式です。

「子どもたちに伝えたいことは何ですか?」「あの頃、家族のためにどんな思いで働いていましたか?」——そうした問いかけに答えていくうちに、自分でも気づいていなかった言葉が出てきます。

テレビ局の報道現場で、言葉にするのが難しいことを抱えた方々のインタビューを続けてきた経験が、この「引き出す力」の土台になっています。整えられた言葉ではなく、その方の中から自然に出てきた言葉だからこそ、観た家族の心に届くものがある。そう信じています。

遺言書を書き終えた後、「もう少し何かを残したい」と感じた方、あるいは「遺言書を書く前に、まず自分の気持ちを整理したい」と思っている方——映像という選択肢を、ぜひ一度考えてみてください。


結い言(ゆいごん)は、合同会社トルアスが運営する生前メッセージ映像サービスです。料金プランは「ことのは」10万円から、「こころの定期便」「ふりかえり」とご用意しています。まずはお気軽にご相談ください。詳しくは yuigon-syukatsu.com をご覧ください。

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結い言は、ご本人の声と言葉で大切な人へメッセージを遺す映像サービスです。まずはお気軽にご相談ください。