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「デジタル遺言」はいつから? 2028年施行予定の新制度スケジュールを解説

コラム
「デジタル遺言」はいつから? 2028年施行予定の新制度スケジュールを解説

「デジタル遺言が使えるようになるって聞いたけど、結局いつから?」

2026年4月に閣議決定されたニュースを耳にして、そう思った方は多いのではないでしょうか。法律の話は「決まった」「変わる」というニュースで終わりがちで、「で、実際にいつ使えるの?」という肝心な部分が伝わりにくいものです。

この記事では、デジタル遺言(保管証書遺言)の施行スケジュールを整理したうえで、施行までの間に準備しておけることをお伝えします。「2028年施行」と言われているけれど何が起きているのか、今の自分に何ができるのか——ひとつひとつ確認していきましょう。

施行は2028年前後——そのスケジュール感

デジタル遺言(正式には「保管証書遺言」)が実際に使えるようになるまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。法律が施行されるまでの流れを、順を追って見ていきましょう。

ステップ1:閣議決定(2026年4月)

2026年4月3日、政府は保管証書遺言を新設する民法改正案を閣議決定しました。これは「政府として法案をまとめた」という段階です。閣議決定はゴールではなく、スタートラインです。

ステップ2:国会審議・成立

閣議決定された法案は国会に提出され、衆議院・参議院での審議を経て可決されると「法律として成立」します。成立の時期は国会の審議状況によって変わりますが、2026年中の成立が政府の目標とされています。

ステップ3:公布・施行

法律が成立すると「公布」(官報掲載)されます。公布から施行(実際に法律が効力を持つ日)までには準備期間が設けられる予定で、現時点では公布から2年以内の施行が想定されています。

つまり、2026年中に成立・公布されれば、2028年前後に施行されることになります。ただし、国会審議が長引いたり、施行準備に時間がかかったりすれば、2028年より遅れる可能性もあります。現時点では「2028年前後が有力」という見通しであることを覚えておいてください。

なぜ施行まで時間がかかるのか

法務局のシステム改修が必要なためです。電子データを安全に受け付け・保管するためのインフラ整備、遺言書保管官の対応マニュアルの作成、マイナンバーカードを使った本人確認の仕組みの接続——こうした準備にどうしても時間がかかります。法律が「成立した」だけでは実務が動かないのが、現実です。

施行までに準備しておけること

「2028年まで何もできないのか」というと、そんなことはありません。むしろ、制度が整う前に準備しておくことで、いざ施行されたときにスムーズに動けます。

マイナンバーカードの取得・更新

保管証書遺言では、本人確認の手段としてマイナンバーカードを使った電子署名が想定されています。まだカードを持っていない方、有効期限が迫っている方は、この機会に取得・更新しておくことをおすすめします。今後、行政手続き全般でマイナンバーカードの活用が広がることは間違いなく、早めに持っておいて損はありません。

財産の棚卸し・整理

デジタル遺言が使えるようになっても、「何を誰にどう残すか」という遺言の中身は自分で考えなければなりません。預金・不動産・保険・株式などの財産をリスト化し、家族構成・年齢・関係性と合わせて整理しておくことが先決です。デジタルになっても、内容が大切であることは変わりません。

「全文口述」に向けた心構え

保管証書遺言には「法務局の担当官の前で遺言書の内容を全文読み上げる」という手順があります。これは遺言者の意思確認のための重要なステップです。書いた内容を口に出して語ることになる——そのことを知っていると、遺言の中身を考えるときの視点が少し変わるかもしれません。「文字で書くだけ」でなく「声で語ることになる言葉」として遺言を準備できるからです。

弁護士・行政書士・司法書士への相談

新制度の詳細はまだ固まっておらず、専門家も状況を注視しています。いきなり自分だけで遺言を作ろうとするよりも、専門家に相談しながら内容を整えておくと安心です。終活全般を整理するという意味でも、早めに動いておくことが大切です。

待っている間にできること——「今」を遺すということ

ここまでお読みいただいて、こう感じた方がいらっしゃるかもしれません。

「2028年まで待つのか……」

でも、考えてみてください。遺言書は「財産の行き先」を決めるものです。デジタル遺言が使えるようになっても、それは変わりません。一方で、遺言書には書けないことがあります。家族への感謝の言葉、子どもたちへの激励、配偶者への「ありがとう」、孫に伝えたい人生の話——そういった「気持ちそのもの」は、遺言書という形式では残せません。

声のトーン、目の奥の温かさ、少し涙ぐむ瞬間——それは文字や電子データには写りません。今の自分が、今の自分の言葉で語ること。その映像は、法改正を待たずに、今日から作ることができます。

「何かが起きる前に、想いを遺したい」という気持ちがあるなら、制度の施行を待つ必要はありません。法律が整う・整わないにかかわらず、生きている自分の声と表情でメッセージを残すことは、今すぐできることです。

デジタル遺言と生前映像は、競合するものではありません。遺言書が「何を」残すかを決めるなら、映像は「なぜ」「どんな想いで」を届けるものです。両方を揃えることで、家族への伝達がずっと豊かになります。

まとめ——今わかっていること

デジタル遺言(保管証書遺言)の施行スケジュールを整理すると、次のようになります。

2026年4月:閣議決定(政府が法案をまとめた)
2026年中:国会審議・成立(目標)
公布から2年以内:施行(2028年前後が有力)

ただし、これはあくまで現時点の見通しです。国会審議の状況によっては変わる可能性があります。最新情報は法務省や専門家のサイトで確認するようにしてください。

制度の施行を待ちながら、今できる準備——マイナンバーカードの取得・財産の整理・専門家への相談——を進めておくことが、賢い備えといえます。そして、法律では残せない「気持ちそのもの」を映像として遺すことは、今日から始められます。


結い言(ゆいごん)は、合同会社トルアスが運営する生前メッセージ映像サービスです。テレビ局出身の代表・大平が、インタビュー形式で丁寧にお話を伺い、ご家族が何度も観返したくなる映像に仕上げます。デジタル遺言の施行を待ちながら、今の想いを映像として遺してみませんか。詳しくは yuigon-syukatsu.com をご覧ください。

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